部門紹介

放射線科

放射線科

放射線科の概要

 医療技術部放射線科では一般影、CT、MRI、TV、血管撮影、核医学、超音波の各分野で画像診断業務を担当しております。当院は救急救命センターを持つ急性期病院であるため、夜間、休日、24時間365日いつでも、すべての検査を行えるように当直待機体制を整えています。特に心筋梗塞や脳卒中では日中、夜間かかわらず迅速に対応し、急性期脳梗塞ではCT,MRI、血管撮影をはじめ脳血流SPECTも緊急対応しています。
 私たちは、日々研鑚し放射線業務に関するさまざまな資格・認定を取得して、より良い精密な検査の実現を目指しています。そして、安全で安心できる高度な医療を提供しています。

安心できる放射線診療

医療に於いて、放射線診療は欠かせないものになっています。
当院では、放射線管理士が在籍し少ない放射線量で最適な画像を提供出来るよう努めております。X線による人体への影響など、医療被ばくで疑間を感じる方はお気軽にお近くの撮影スタッフ(診療放射線技師)にお尋ねください。「24番画像診断センター」

MRI検査

MRIは、磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging)の略語です。磁場と電波、コンプユーターを使って体の内部を非常に詳しく画像に写し出します。放射線は使用しませんので被ばくの心配はありません。

【検査を受けるときの注意事項】

検査で強い磁力を利用するため、次の方は検査が出来ません。
心臓ペースメーカーを埋め込んでいる方(最近はMRI対応ペースメーカーが普及していますので当院にご相談ください)
人口内耳を装着している方
磁石の義眼を装着されている方
また、手術等で体内に金属が入っている方はその素材により検査できない場合があります。
検査中は工事現場に居るような騒音がしますが、耳栓・ヘッドフォンなど使用して対応しています。

【検査の特徴】

超急性期の脳梗塞の診断に優れた撮像法(拡散強調画像:Diffusion)や未破裂動脈瘤の発見に有効なMRA(Magnetic Resonance Angiography)などの検査が可能です。
当院放射線科は24時間365日対応しています。

【導入機種】

SIEMENS社製MAGNETOM Avanto(1.5T )、Skyra(3T) HITACHI社製ECHELON Smart(1.5T)

CT検査

CTとはComputed Tomographyの略称で、コンピューター断層撮影の事です。人体にX線を360°方向からラセン状に照射し、透過X線をコンピューターで処理する事によりさまざまな方向の断層画像、3D画像を作成して診断向上に貢献しています。当院のCTは320列エリアディテクターCTと64列のマルチスライスCTを備えており、高精細画像を短時間で撮影でき肺がんCT検診などでも用いられています。また造影剤を使用することにより、脳の血管や心臓の冠動脈3D画像など病変のある部位を立体視することができます。

X線透視検査

X線透視検査とは、X線画像をテレビモニタに映し出し、その透視画像で実際の動きを観察しながら行う検査です。当院では、新しい方式のFPD(フラットパネルディテクタ)搭載X線TV装置4台で、主に胃・大腸のバリウム検査や、内視鏡検査と同時に行うERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影)などを行っています。

血管造影検査

循環器専用装置1台、多目的(脳・胸腹部・四肢)用装置1台
大腿部の付け根、 上腕部または手首の血管よりカテーテルと呼ばれる細い管を血管内に挿入し、カテーテルを目的部位(脳血管、心血管等)まで進めた後、造影剤を注入しながらⅩ線連続撮影をします。近年注目されている、外科的な大きな手術ではなく侵襲の少ない血管内手術もおこなっています。
当院では24時間対応しており、特に緊急性を要する急性心筋梗塞や脳梗塞、腹腔出血に対する血管内治療を迅速に行っています。
また、手術室で大動脈ステントグラフト内挿術も行っています。

核医学検査(RI検査:アールアイけんさ)

脳・心臓用3検出器装置1台、全身・多目的用2検出器装置1台
RI(アールアイ)検査とは、放射線をだしている医薬品をごく少量注射して、体内の臓器の状態や病気の場所をしらべる検査です。
脳や心臓の検査では、血液の流れの異常がわかります。また、骨へのがん転移、腫瘍や炎症をみる検査では、その有無や程度がわかります。そのほか各臓器の機能障害をしらべるためにも役立っています。
最近では、認知症・パーキンソン病などの早期診断を画像の統計解析をすることでわかるようになってきており注目されています。
脳梗塞など緊急を要する場合、脳への血液のめぐりをみる検査は、24時間いつでも検査・診断が可能になっています。

超音波検査

超音波検査とは

超音波を使い体を観察し疾病も鑑別する検査です。 被ばくや痛みを伴わない安全性の高い検査ですので、患者様への苦痛などの負担は軽減されます。

超音波検査室で主に行っている検査

《腹部》 肝、胆、膵、腎、脾、消化管など
健診などのスクリーニング,腫瘍,結石などの治療手段,治療後の評価に有効です。
《体表》 乳腺、甲状腺、皮下腫瘤など
〔乳腺〕
乳腺症や良性の腫瘤、乳がんなどを観察します。
〔甲状腺〕
甲状腺の大きさ形態、血流状態などに異常がないか、又腫瘤など観察します。
周辺の顎下腺やリンパ節も観察します。
《血管》 頚動脈、下肢静脈など
〔頚動脈〕
動脈硬化の早期発見により早期治療に有効です。
頚動脈の狭窄及び閉塞病変の観察をします。
〔下肢静脈〕
足の静脈の血液の流れや血の固まりの有無を調べます。
下肢静脈血栓症などの診断に有効な検査です。

検査時の準備

腹部の検査の方は、絶食が必要です。
(胃や腸の内容物で、描出能が低下するためです。)
午前予約の方は、朝食は摂らずに来院下さい。
午後予約の方は、朝食は軽く取り、昼食は摂らずに来院下さい。
のどが渇いた時は、少量のお茶やお水を飲んで下さい。
お薬は、医師や看護師の指示に従って下さい。
その他の検査(体表、血管)は絶食の必要はありません。

マンモグラフィ(乳房撮影検査)

近年、日本でも乳がんにかかる女性が急増しています。乳がんは早期発見、早期治療を行うことで、他のがんに比べて治りやすいがんです。

マンモグラフィとは、乳房専用のエックス線検査のことです。乳房を上下方向と左右方向から専用の装置に挟んで撮影します。挟むことで、ある程度の痛みが生じることがありますが、視触診に比べてより小さくて早期のがんをみつけることが出来ます。マンモグラフィ検診は、欧米では最も一般的で、乳がんによる死亡率を減少させる効果が得られています。

NPO法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会では撮影技師認定を持った撮影技師が、施設画像認定を持つ施設の撮影装置で撮影し、読影医師認定を持つ医師が読影を行うことを推奨しています。当院は、全ての認定を取得している施設です。

マンモグラフィー(MMG)ソフトコピー検診施設画像認定を取得しました。

 マンモグラフィーソフトコピー検診認定施設評価に合格しました.近年の技術革新によるアナログからデジタルへの移行に伴い,当院はいち早く最新の装置を導入し乳がん診療の質の高さ及び最新技術を生かして画像の質にこだわってきた取り組みが認められたものです。
 ソフトコピー診断とは従来のフィルム診断ではなくデジタル画像をコンピュターの専用モニターにより診断することです。
 ソフトコピー診断を行う利点は、画像のコントラストやブライトネス(輝度)を自由に調整したり拡大も可能なため、微細な石灰化病変の発見や診断に非常に有効であることです。また、現在と過去の画像を比較しながら診断する経過観察でも、従来よりも短時間で簡単にモニター表示可能になり、飛躍的に効率的になった事があげられます。
 今回取得したマンモグラフィーソフトコピー検診施設認定取得に満足することなく,当院で安心してマンモグラフィー検査を受けていただく為に,今後も技術面だけでなく暖かい接遇にも力を注ぐことを目指し日々精進していきます。

一般撮影室

胸部、腹部、頭部、骨、などを主とした一般撮影と乳房撮影、骨塩定量、病棟でのポータブル撮影、手術室での透視撮影などを担当しています。正確な撮影体位と被ばく管理を行い診断価値の高い画像を提供しています。

その他

1.検査実績

2004年度2008年度2012年度2016年度2017年度2018年度
X線透視8529人5895人5568人4909人4756人4413人
一般撮影53364人48395人46488人48997人48372人51859人
ポータブル9021人8144人6701人7050人6651人6348人
マンモグラフィー601人1396人1723人1947人1871人1909人
血管造影1302人916人1129人1312人1262人1318人
CT25470人30324人28305人27846人27875人29347人
DEXA880人714人776人1042人1089人1313人
RI3472人2691人2243人1670人1641人1637人
MRI11127人15942人17948人18008人18017人18210人
超音波検査5907人7436人8860人10903人11239人11844人
ESWL123人142人98人14人12人28人

2.画像診断機器一覧

部門 機器 メーカー 台数
一般撮影 立位CR撮影装置 フジフィルム 4
その他CR装置 フジフィルム 4
パノラマ撮影装置 朝日レントゲン工業 1
骨塩定量装置 日立アロカ 1
乳房撮影装置 GE 1
ポータブル撮影装置 シーメンス 3
日立アロカ 1
外科用イメージ(手術室) シーメンス DSA 1
GE 1
シーメンス 2
消化器 FPD方式X-TV 東芝メディカル 3
日立メディカル 1
CT 64列 東芝メディカル 1
320列 東芝メディカル 1
MRI 1.5テスラ シーメンス 1
日立製作所 1
3.0テスラ シーメンス 1
核医学 3検出器SPECT 東芝メディカル 1
2検出器SPECT シーメンス 1
血管撮影 2管球FPD 心カテ装置 東芝メディカル 1
2管球FPD 脳、血管 フィリップス 1
超音波 超音波装置 東芝メディカル 2
日立アロカ 1
画像処理 3D-ワークステーション アミン 3
テラリコン 2
画像システム 循環器動画システム フォトロン 1
RIS 富士通 一式
PACS 富士通 一式
レポート 富士通 一式

3.資格・認定一覧

旭川赤十字病院 医療技術部放射線科 認定資格取得状況 2015年11月現在

認定機関 取得資格 人数
文部科学省 第1種放射線取扱主任者 5
厚生労働省 第1種作業環境測定士(放射性物質) 3
公益社団法人日本診療放射線技師会 放射線機器管理士 4
公益社団法人日本診療放射線技師会 放射線機器管理士 5
公益社団法人日本診療放射線技師会 放射線被ばく相談員 3
公益社団法人日本診療放射線技師会 Ai認定診療放射線技師 1
日本超音波学会 超音波検査士(消化器) 7
日本超音波学会 超音波検査士(体表臓器) 4
日本超音波学会 超音波検査士(検診) 1
日本消化器がん検診学会 胃がん検診専門技師 2
日本医療情報学会 医療情報技師 1
日本救急撮影技師認定機構 救急撮影認定技師 2
日本核医学専門技師認定機構 核医学専門技師 2
日本磁気共鳴専門技術者認定機構 磁気共鳴(MR)専門技術者 2
NPO法人 マンモグラフィ検診精度管理中央委員会 検診マンモグラフィー撮影技術認定 5
NPO法人 日本Ⅹ線CT専門技師認定機構 Ⅹ線CT認定技師 5
NPO法人 肺がんCT検診認定機構 肺がんCT検診認定技師 1
日本赤十字社 日本赤十字救急法指導員 1
医療安全管理者 日本病院会 1

施設認定

NPO法人 マンモグラフィ検診精度管理中央委員会
マンモグラフィ検診施設画像認定(第7503号)
(Digital Mammography and Soft Copy)
認定期間 2019年4月1日から2022年3月31日
オートプシーイメージング学会
Ai 撮影認定施設
施設カテゴリー:A
登録年 平成25年
日本診療放射線技師会
医療被ばく低減施設認定  (第54号認定)
登録  H27年11月1日
日本救急撮影技師認定機構
実地研修施設
認定期間 2017年5月2日から2022年3月31日

日本救急撮影技師認定機構が指定する実地研修施設になりました.

当院救命救急センターと医療技術部放射線は、平成29年5月2日付けで日本救急撮影技師認定機構が指定する実施研修施設になり、実習生の受け入れを行うことになりました。
救急撮影認定技師として登録されるには、認定試験に合格後、1年以内に同機構が指定する施設において、実地研修を行うことが求められています。道内では北海道大学病院、札幌医科大学付属病院、市立函館病院、帯広厚生病院であり道北地域では当院が初めてとなります。我々は、日本救急撮影技師認定機構の実地研修を通じて、道北地域の救急医療の発展に貢献してまいります。

医療被ばく低減施設認定を取得しました.

 このたび,公益社団法人日本診療放射線技師会から平成27年11月1日付で医療被ばく低減施設に認定されました.全国の赤十字病院では2施設目になります. 
医療被ばく低減施設とは,放射線管理士,放射線機器管理士が在籍し放射線量の適正化を実施している施設に認定されます.
 私たち診療放射線技師は,医療被ばくについて責任を持ち検査の説明や被ばくの相談を受けることは当然のことでありそれを実践することがわれわれの使命です.
医療における画像診断は治療に欠かせませんが,その被ばく線量はできるだけ低く抑えることが必要です.私たちは良い画像を提供する為に被ばく線量を曖昧にしないで正確に把握し,医療被ばくガイドラインと比較することで被ばく線量と画質の最適化に努めています.
 今後は,日本国内でも導入を検討されている診断参考レベル(DRL)に向け,継続して被ばく管理を行い安心できる放射線検査を実施していくように診療放射線技師一同自己研鑽に励みます. 放射線診療における患者様の不安に対し,お役に立てるよう努力してまいります.

医療技術部放射線科技師長 増田安彦
放射線管理士・機器管理士 東堂剛三
同 野村和弘

医療の中の放射線基礎知識

放射線の単位について

■ Bq (ベクレル)

放射性物質の量がどれくらいあるかを表します。
放射性物質が放射線を出す能力をいい、1ベクレルは1秒間に1回の壊変をいいます。
(KBq、MBq、GBq)

■ Gy (グレイ)

吸収されたエネルギーで放射線の量を表します。
吸収線量の単位で、放射線および物質の種類に関係なく、照射物質の単位質量当たり、放射線から与えられたエネルギー量をいい、1グレイは1Kg当たり1J (ジュール) 与えることを表します。
(µGy、mGy、cGy、Gy)

■ Sv (シーベルト)

人体にどの程度影響を与えたかで放射線の量を表します。
等価線量の単位で、放射線の種類やエネルギーにより人体組織に対する影響が異なることを考慮した、放射線防護に用いられる線量です。
実効線量の単位としても使われ、各組織・臓器の線量 (等価線量) に基ずき算定する線量で、個人線量管理ではその人が受ける総合的な影響の度合いを表します
(µSv、mSv、Sv)

放射線の単位によく使われる補助単位

µ (マイクロ)
10の-6乗
m (ミリ)
10の-3乗
c (センチ)
10の-2乗
k (キロ)
10の3乗
M (メガ)
10の6乗
G (ギガ)
10の9乗
T (テラ)
10の12乗

身のまわりにある放射線の種類

■ ラジウム温泉やラドン温泉

ラジウム温泉などは、健康によいと療養や気分転換の為に温泉場に訪れる人がたくさんいます。
ラジウムはα線を出して気体のラドンに変わり、さらにラドンはα線を出して別の元素に変わります。その後も次々に元素が変化し、最後に安定な鉛になります。この間、α線やβ線やγ線も出します。
ラジウム温泉やラドン温泉のある地域では、水中や空気中の放射能が普通の地域よりも高いのですが、放射線による病気などの影響は認められません。
ラドンは世界中のどこでも大地から染み出しています。

世界の対地から受ける年間自然放射線量

  • * ガラバリはブラシル大西洋のリゾート地です。ビーチに広がる黒い砂がリュウマチに効くということで、沢山の人達が海水浴と治療にここを訪れています。この黒い砂は、高い放射能を持っています。
    大西洋岸に平行に走る山脈中の古期片麻岩(グネス岩)が、長年の風化と分解によって、チタン鉄鋼ジルコナイト・モナザイトの細かい粒子になり、川によって下流の運ばれ、海岸に沈積したといわれています。

■ 新幹線で東京から新大阪へ

東京から新大阪へ行く列車の中で放射線の強さを測定してみると、トンネルに入るごとに放射線は強くなり、大きな川の鉄橋の上では逆に弱くなります。浜松当たりを過ぎると放射線は少し強くなり、西高東低の傾向がみられます。
大地ではいろいろな放射性同位元素(アイソトープ)を含んでいるので、放射線を出しています。トンネルの中では、四方八方から放射線が来るので、放射線が強くなります。
鉄橋の上では、川の水が川底から来るγ線を遮るので、放射線は弱くなります。大地に含まれる放射性同位元素の濃度は場所によりかなり違います。一般に関西地方が関東地方よりも高いのです。
ラジウム温泉が多いイランのラムサール地方では、大地からの放射線が1年間につき400mSvを超える場所もあります。 (日本の平均は0.41mSv)

■ 飛行機で上空へ

ジェット機の中で放射線の強さを側ってみると、上空へ行くほど放射線は強くなります。
これは宇宙線が上空ほど強いからです。空からは宇宙線がたえず降り注いでいます。これは主にγ線です。

20Km12Km4Km2Km海面
13µSv/h5µSv/h0.2µSv/h0.1µSv/h0.03µSv/h

放射能と放射線について

■ 放射線と放射能

「放射線」と「放射能」はよく似た言葉、ときどき混同されます。
放射性同位元素(アイソトープ)は電球にたとえると、電球から出る光が放射線であり、光を出す性質あるいは能力が放射能にあたります。
放射能という言葉は放射能の強さの意味にも使われます。
電球のワット数が、放射能の強さベクレル(Bq)に当たります。

■ 放射線漏れと放射能漏れ

「放射線漏れ」とは、放射線をさえぎる遮蔽物の外に 放射線が出てくることです。
「放射能漏れ」とは、放射性同位元素が囲みの外の 環境へ漏れ出すことです。もちろん放射線ももれています。

■ 放射線の種類

人体に対する影響(被ばく)

■ 内部被ばくと外部被ばく

自然放射線による被ばく(年間)
2,4mSv
内訳
内部被ばく
  • 空気中のラドンなどの吸収から 1.4mSV
  • 食物などから 0.33mSv
外部被ばく
  • 大地放射線から 0.41mSv
  • 宇宙線から 0.36mSv

■ 被ばくの種類

内部被ばくと外部被ばくとでは、全身あるいは組織や臓器が受ける放射線量が同じなら、それによる影響
は同じです。
全身被ばくと部分被ばくでは、同じ線量なら全身被ばくの方が影響の程度は大きくなります。
全身の場合、全ての組織・臓器が放射線を受けます。線量が多い場合、全ての臓器・組織に影響が出る
可能性があります。

■ 放射線影響の分類

1)確定的影響

しきい線量があり、この線量を超えて被ばくした場合でないと、影響は発生しません。

部位・影響 症状 しきい線量
(mGy)
潜伏期間
水晶体 水晶体混濁
白内障
500~2000
5000
5年
数年
不妊 一時的不妊 男 150
永久不妊 男 3500~6000
女 2500~6000
胎児 流産  ~15d
形態異常  2w~8w
精神発達遅延  8w~15w
100
100
100
骨髄 造血作用低下 500
皮膚 皮膚発赤の主要期
一時的脱毛
3000~6000
4000
1~4週間
2~3週間

2) 確率的影響
発ガン:

数百mSv以下の被ばく線量では、放射線による発ガンはほとんど心配ありません。

しきい線量がないと仮定した場合のガンで死亡する確率
  • 1mSv/年の被ばくを0~生涯継続した場合  0.4%
  • 2mSv/年の被ばくを0~生涯継続した場合   0.8%
  • 10mSv/年の被ばくを18~65歳まで継続した場合  1.8%
  • 20mSv/年の被ばくを18~65歳まで継続した場合   3.6%

遺伝的影響:

疫学的調査では現在までに、放射線被ばくによる遺伝的影響の発生は人では確認されていません。しかし、突然変異の発生は確率現象であり、ショウジョウバエやマウスなどの実験動物では、放射線による突然変異の発生率が、線量との間にしきい線量のない直線関係であることが認められています。この場合、遺伝的影響として現れる症状、病気が自然に発症している遺伝的影響と区別できません。わからないことについては、安全側にシフトする仮定をとるべきです。

放射線を浴びた場合と日常生活によるガンのリスク(国立ガンセンター研究センター調べ)
要因対象比較対象がんになるリスクの増え方
喫煙(男性)現在の喫煙者非喫煙者1.6
広島・長崎での放射線被爆1000ミリシーベルト被爆なし1.5
大量飲酒(男性)エタノール換算で週300~400gときどき飲む1.4
やせ(男性)BMI:14.0-18.9BMI:23.0-24.91.29
肥満(男性)BMI:30.0-39.9BMI:23.0-24.91.22
運動不足1日のMETs時が 男性:24.65、女性:26.101日のMETs時が 男性:42.62、女性:42.651.15~1.19
高塩分食品干物等で1日43g、 たらこ等で4.7g干物等で1日0.5g、 たらこ等で0g1.11~1.15
野菜不足1日摂取量が110g1日摂取量が420g1.06
広島・長崎での放射線被爆100ミリシーベルト被爆なし1.05
非喫煙者女性の受動喫煙夫が喫煙者夫が非喫煙者1.02~1.03

BMI値は体重(Kg)/身長(m)
METsは運動によるエネルギー消費量が安静時の何倍にあたるかを示す単位
放射線は、広島・長崎の原爆被爆者の追跡調査からのデーターでLNT仮説図の100ミリシーベルトで
がん死者が0.5%増加といった値とは概念が違い直接比較できない
多量飲酒は1週間にビールなら大瓶13~20本、ワインなら26~39杯を飲むことにあたる

■ 適用の判断

被験者にとって、検査で得られる利益が医療被ばくによる不利益をうわまわること。

■ 当院の検査内容ごとの被ばく量

検査名 部位・方向 被ばく線量(mGy)(mSv)
最大部分 実効線量 女性殖腺 男性殖腺
単純撮影
(レントゲン)
頭部 正面 1.59 0.01 0 0
頭部 側面 0.93 0.01 0 0
頚椎 側面 0.41 0.02 0 0
胸部 正面 0.10 0.02 0 0
胸部 側面 0.39 0.09 0 0
胸部 正面(小児) 0.09 0.01 0 0
乳房(平均乳腺線量) 0.97 0 0
腹部 正面 0.64 0.06 0.1 0
腹部 正面(小児) 0.15 0.02 0 0
腰椎 正面 1.45 0.19 0.3 0.1
腰椎 側面 6.47 0.22 0.2 0.1
骨盤 正面 1.09 0.11 0.2 0.7
大腿部 0.93 0.11 0 0.5
膝関節 0.16 0 0 0
足関節 0.07 0 0 0
骨盤計測(グッスマン) 2.10 0.15 0.3
骨盤計測(マルチウス) 4.41 0.87 1
検査名 部位・方向 被ばく線量(mGy)(mSv)
CTDI vol 実効線量 女性殖腺 男性殖腺
CT 頭部 89 2 0 0
胸部 9 5 0 0
上腹部 17 9.2 0.62 0.04
上腹部~骨盤 19 14.5 30 24
心臓 22 2 0 0
頭部(小児) 30 1.6 0 0
上腹部~骨盤(小児) 7.6 4 8.2 6.6
検査名 部位・方向 被ばく線量(mGy)(mSv)
最大部位 実効線量 女性殖腺 男性殖腺
病室撮影 胸部 正面 0.11 0.02 0 0
腹部 正面 0.45 0.08 0.1 0.06
胸部 正面(小児) 0.09 0.02 0 0
X線TV 胃透視(撮影12回) 65 6.8 1.07 0.1

胎児に対する被ばく

胎児が放射線を受けた場合に問題になる影響は、つぎの5つがあります。

  • (1) 胚死亡 (流産)
    (2) 奇形
    (3) 精神発達遅延・発達遅延
    (4) 小児ガンの発生
    (5) 出生児の遺伝的影響

胎児期の放射線の影響を考えるには、さらに胎児の被ばく線量と胎児の胎齢(月齢)を考慮します。

胎児期の分類時期影響しきい線量
着床前期受精から8日胚死亡100mGy
器官形成期2週から8週奇形100mGy
胎児期8週から15週
8週から出生
神経発達遅延
発達遅延
100mGy
100mGy

ガンと遺伝的影響以外(1)(2)(3)については、影響が発生する最小の線量である、しきい線量が存在します。(4)(5)については放射線防護の視点から、しきい線量が存在しないと仮定されていますが、胎児期の低線量被ばくでガンが誘発されるかどうかは、疫学調査の結果からは、はっきりした結論は出すことができません。また遺伝的影響においても明らかではありません、いずれにしても、自然発生のガンおよび遺伝的な疾患の発生確率に比べて、放射線誘発の確率はきわめて小さいと考えます。

胎児期の放射線被ばく
指導・説明
10mGy
問題発生しない
10mGy~100mGy未満
時期と場合を考える
100mGy以上
生まない方向で説明する

* 一般的に放射線検査では胎児に100mGy以上の被ばくは考えにくい。

参考文献 : 医療科学社 あなたと患者のための放射線防護Q&A
     : 放射線のABC 社団法人 日本アイソトープ協会
     : 改訂版やさしい放射線とアイソトープ 社団法人 日本アイソトープ協会

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