部門紹介

放射線科

放射線科

放射線科の概要

 当院放射線科では診療放射線技師26名受付事務4名で日々の業務を行っています。
 「診療放射線技師」とは、”厚生労働大臣の免許を受けて、医師又は歯科医師の指示の下に、放射線を人体に対して照射(中略)することを業とする者をいう。”と定義されます。
 診療放射線技師になるには、国家資格を取得することが必要になり、まず3年制か4年制の養成校(大学・短大・専門学校)で学び、国家試験の受験資格を得てから、診療放射線技師国家試験に合格すると、国家資格を取得できます。

 当院放射線科では一般撮影、CT、MRI、TV、血管撮影、核医学、超音波の各分野で画像診断業務を担当しています。当院は救急救命センターを持つ急性期病院であるため、休日、夜間を問わず、24時間365日いつでも、すべての検査を行えるように当直待機体制を整えています。特に心筋梗塞や脳卒中では迅速に対応し、急性期脳梗塞ではCT,MRI、血管撮影をはじめ脳血流SPECTも緊急対応しています。
 私たちは、日々研鑚し放射線業務に関するさまざまな資格・認定を取得して、より良い精密な検査の実現を目指しています。そして、安全で安心できる高度な医療を提供しています。
 また当院には、放射線管理士が在籍し、少ない放射線量で最適な画像を提供出来るよう努めております。X線による人体への影響など、医療被ばくで疑間を感じる方はお気軽にお近くの撮影スタッフ(診療放射線技師)にお尋ねください。

資格・認定一覧

旭川赤十字病院 医療技術部放射線科 認定資格取得状況(2020年4月現在)

認定機関資格・認定取得者数(人)
文部科学省第1種放射線取扱主任者5
厚生労働省第1種作業環境測定士(放射性物質)2
公益社団法人日本診療放射線技師会放射線管理士3
公益社団法人日本診療放射線技師会放射線機器管理士4
公益社団法人日本診療放射線技師会放射線被ばく相談員2
公益社団法人日本診療放射線技師会Ai認定診療放射線技師1
日本超音波学会超音波検査士(消化器)6
日本超音波学会超音波検査士(体表臓器)5
日本超音波学会超音波検査士(検診)1
日本消化器がん検診学会胃がん検診専門技師2
日本医療情報学会医療情報技師1
日本救急撮影技師認定機構救急撮影認定技師3
日本核医学専門技師認定機構核医学専門技師認定2
日本磁気共鳴専門技術者認定機構磁気共鳴(MR)専門技術者2
NPO法人 マンモグラフィ検診精度管理中央委員会検診マンモグラフィー撮影技術認定5
NPO法人 日本Ⅹ線CT専門技師認定機構Ⅹ線CT認定技師5
NPO法人 肺がんCT検診認定機構肺がんCT検診認定技師1
日本赤十字社日本赤十字救急法指導員1
医療安全管理者日本病院会1

施設認定

NPO法人 マンモグラフィ検診精度管理中央委員会マンモグラフィ検診施設画像認定(第5786号)
(Digital Mammography and Soft Copy)
認定期間 2019年4月1日から2022年3月31日
オートプシーイメージング学会Ai 撮影認定施設
施設カテゴリー:A
登録年   2013年
日本診療放射線技師会医療被ばく低減施設認定(第54号)
登録       2015年11月1日
日本救急撮影技師認定機構実地研修施設
認定期間 2017年5月2日から2022年3月31日

画像診断機器一覧

部門 機器 装置メーカー 型式 台数
一般撮影 一般撮影システム 島津製作所 Radiotex UD150B-40 5
立位CR撮影装置 フジフィルム Velocity U 4
その他CR装置 フジフィルム PROFECT Speedia 4
パノラマ撮影装置 朝日レントゲン工業 AUTOⅢNCMR 1
骨塩定量装置 日立アロカ DSC-600 1
乳房撮影装置 GE セノグラフDS 1
ポータブル撮影装置 SIEMENS モビレット プラスHP 3
日立アロカ シリウス 130HP 1
外科用イメージ(手術室) SIEMENS DSA ARCADIS Avantic 1
GE OEC Brivo Essential 1
SIEMENS SIREMOBIL Compact L 2
X線TV室 FPD方式X-TV Canonメディカル KXO-80Z 3
日立メディカル CUREVISTA 1
CT 64列 SIEMENS SOMATOM Definition Edge 1
320列 Canonメディカル Aquilion ONE ViSION Edition 1
MRI 1.5テスラ HITACHI ECHELON Smart 1
1.5テスラ SIEMENS MAGNETOM Avanto 1
3.0テスラ SIEMENS MAGNETOM Skyra 1
核医学 3検出器SPECT Canonメディカル GCA9300R 1
2検出器SPECT SIEMENS Synbia Evo Excel 1
血管撮影 2管球FPD 心カテ装置 Canonメディカル XTP-8100G 1
2管球FPD 脳、胸腹部血管 フィリップス Allura Xper FD20+20 1
超音波 超音波装置 Canonメディカル アプリオ 2
Canonメディカル i700 1
画像処理 3D-ワークステーション アミン ziostation2 8
3Dプリンター 3Dプリンター Fusion technology L-DEVO 1
画像システム 循環器動画システム フォトロン CADA-Surve 1
RIS 富士通 HOPE/DrABLE-GX 一式
PACS 富士通 HOPE/EGMAIN-GX 一式
レポート 富士通 一式

CT検査

 canon社製Aquilion One(320列)とSIEMENS社製SONATOM Edge Plusの2台で検査を行っています。

●画像データからAxial画像及び任意断面像(MPR)や冠動脈CT(Fig1)、血管像(Fig2)、4DCTを作成し、詳細な診断情報を提供しています。脳血管領域では数値流体力学(CFD)を用いて脳動脈瘤の解析(Fig3)を行っています。

Fig 1

Fig 2
Fig 3

●SONATOM Edge Plusでは最新の画像再構成方法である逐次近似再構成(ADMIRE)やTin filter等を使用することでAquilion Oneと比較して約40%の被ばく低減で撮影しています。肺がんCT検診では1mSvを下回る線量で臨床上耐え得る画像(Fig4)を提供しています。

Fig 4

●低管電圧撮影を行うことで造影剤量を患者の腎機能に合わせて30~50%低減しています。(Fig5.6)

Fig 5(Aquilion oneで撮影、造影剤96ml使用)

Fig 6(Edge Plusで撮影、造影剤68ml使用)

●TwinBeam Dual Energy は、シングルソースCTでも1回の照射でデュアルエナジーイメージングを可能にする技術として開発されました。1つのX線管から照射されるX線束を2種類のエネルギースペクトルに分割して2種類の異なるエネルギーの画像データを取得します。付加情報として組織分別・解析や描出、金属に起因するアーチファクトの低減や石灰化や骨の除去などが可能となります。造影剤成分のみを抽出した画像(Fig7)や、その比率を変えた画像(Fig8.9)を作成し提供しています。

Fig 7

Fig 8(120kv)

Fig 9(50kev)

MRI検査

当院のMRIは1.5T装置2台、3T装置1台の計3台で検査を行っています。

 頭部領域では、Diffusion画像やFLAIRなど様々な撮像方法を組み合わせることで脳梗塞や脳出血、その他の変性疾患を的確に診断することができます。また、3T装置によるMRAでは高精細に血管を描出することができ脳動脈瘤、血管狭窄などの診断に利用されます。特殊な検査としては非造影の脳灌流検査、black blood法を用いた頸動脈プラーク精査などを行っています。

 心臓領域では、動いている心臓をCine画像として取得し、左心室壁運動と左心室ポンプ機能の評価が可能です。また造影剤を用いることによって、心筋血流、心筋バイアビリティなど心臓の機能や形態を総合的に評価できます。

 乳房領域では、MRIは他のモダリティに比べて乳管内病変の検出に優れ、病変の良悪性の鑑別や、腫瘤の性状、乳がんの広がり診断に有用です。

 腹部領域では、水からの信号を画像化することにより、胆嚢や胆管、膵管を描出できるMRCPや、造影剤を用いた腹部臓器のダイナミック撮影を行っています。

 四肢領域のMRIでは、X線撮影で診断の難しい靭帯や半月版などの組織も明瞭に描出することができます。骨組織はもちろん関節、筋肉、皮下組織の診断にも有用な検査です。

超音波検査

超音波検査では病変の有無や臓器の機能評価、RFA後などの治療効果判定に利用されています。

 検査機器は3台(cannon製 Aplio i700 1台 AplioXG 2台)で運用されており、2019年9月に導入されたAplio i700では特に質の高い検査を行っております。

Aplio i700の機能を用いて行っている主な検査

Contrast Harmonic Imaging}
超音波造影剤(ソナゾイド造影モード)を用い肝臓腫瘤の質的診断、治療後の効果判定

{Elastography}
主に乳腺腫瘤に対する硬さの判定

{Shear wave elastography}
肝硬度測定
せん断波の伝搬速度を推定し肝臓組織の硬さを数値やカラーマップで表示
せん断波の伝搬する時間を等高線表示するPropagation表示でせん断波の伝わり方を視覚的に確認

{Superb Micro- vascular Imaging(SMI)}
低速血流を高フレームレートで描出し腫瘤内、炎症部位、関節血流などの微細な血流を検出

Aplio i700装備のプローブについて

ワイドバンドiDMS(InteligentDMS)プローブなのでスライスの厚み方向にも超音波音場を制御可能な構造で、浅部から深部まで均一な画像が得られます。そのため、体格による画像描出能の相違を軽減することができ、深さ方向に絞れたビーム照射(アーチファクトやクラッタの低減)が可能です。

当院超音波検査室で主に行われている検査

腹部(肝、胆、膵、腎、脾、腸管、泌尿器科領域、婦人科領域)
検診などのスクリーニングや腫瘍、結石、ポリープ等の治療手段、治療後の評価
表在臓器(乳腺)(甲状腺)(皮下)
悪性、良性の鑑別と性状、サイズの描出や他臓器との関係を把握
頸部リンパ節及び唾液腺の形態評価、腫瘤検索
血管系(頸動脈、腎動脈、下肢動、静脈)
動脈硬化の早期発見や治療効果判定(plaque等)
高血圧、糖尿病等に関連する血管と血流の評価
下肢静脈血栓の有無検索
下肢静脈焼灼術後の効果判定及びフォロー
関節
リュウマチ関節滑膜炎に対するグレード評価
整形外科領域の関節の観察

血管造影検査

 血管造影室は、循環器系のカテ室1部屋、頭部から腹部、四肢まで多目的カテ室1部屋、手術室にステントグラフト用Cアーム1台があります。
 年間実績件数は、循環器系の診断カテ380件以上、PCIは約180件、脳外科約130件そのうち超急性期脳血管IVRは約50件、放射線科約100件、心臓血管外科約300件そのうち手術室ステントグラフト約50件、腎臓内科によるシャントPTA約70件となっています。
 循環器では、毎月1回出張医によるアブレーションも行っています。
 特に超急性期脳梗塞患者に対しては、救急外来搬入から血管内治療開始まで60分以内を目指して積極的に放射線技師も協力し24時間365日対応しております。

核医学検査(RI検査)

 当院では、年間約1600件以上を3検出器SPECT装置1台、2検出器ガンマカメラ1台にて検査しております。
 3検出器SPECT装置では、脳血流シンチグラフィ、テクネチウム心筋血流シンチグラフィ、ドパミントランスポーターシンチグラフィ、脂肪酸代謝シンチグラフィなど、脳と心臓系を主に検査を行っています。最新の画像解析ソフトにて画像処理を行い、脳血流量の定量評価や早期アルツハイマー型認知症診断、パーキンソン病診断など早期診断に有用な画像提供も行っています。さらに、SPECT画像とCTやMRI画像を融合させ、より診断情報の多い画像作成も積極的に行っています。
 2検出器ガンマカメラでは、骨シンチグラフィ、甲状腺シンチグラフィなど、脳と心臓以外の様々な検査に対応しております。
 また、内用療法では、アルファ線放出核種である223Ra(ラジウム)を用いた去勢抵抗性前立腺癌の骨転移に対する治療も行っています。
 当検査室は、全国的にも珍しく24時間365日、緊急時局所脳血流シンチグラフィにも対応しております。

日本救急撮影技師認定機構が指定する実地研修施設になりました.

当院救命救急センターと医療技術部放射線は、平成29年5月2日付けで日本救急撮影技師認定機構が指定する実施研修施設になり、実習生の受け入れを行うことになりました。
救急撮影認定技師として登録されるには、認定試験に合格後、1年以内に同機構が指定する施設において、実地研修を行うことが求められています。道内では北海道大学病院、札幌医科大学付属病院、市立函館病院、帯広厚生病院であり道北地域では当院が初めてとなります。我々は、日本救急撮影技師認定機構の実地研修を通じて、道北地域の救急医療の発展に貢献してまいります。

医療被ばく低減施設認定を取得しました.

 このたび,公益社団法人日本診療放射線技師会から平成27年11月1日付で医療被ばく低減施設に認定されました.全国の赤十字病院では2施設目になります. 
医療被ばく低減施設とは,放射線管理士,放射線機器管理士が在籍し放射線量の適正化を実施している施設に認定されます.
 私たち診療放射線技師は,医療被ばくについて責任を持ち検査の説明や被ばくの相談を受けることは当然のことでありそれを実践することがわれわれの使命です.
医療における画像診断は治療に欠かせませんが,その被ばく線量はできるだけ低く抑えることが必要です.私たちは良い画像を提供する為に被ばく線量を曖昧にしないで正確に把握し,医療被ばくガイドラインと比較することで被ばく線量と画質の最適化に努めています.
 今後は,日本国内でも導入を検討されている診断参考レベル(DRL)に向け,継続して被ばく管理を行い安心できる放射線検査を実施していくように診療放射線技師一同自己研鑽に励みます. 放射線診療における患者様の不安に対し,お役に立てるよう努力してまいります.

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