初めまして、旭川赤十字病院 研修医2年目の長安 健です。
高校までは千葉県、その後旭川医科大学へ進学し、以降旭川での生活を続けています。
今回の研修医日記では、旭川赤十字病院ならではと言える、ドクターヘリ搭乗研修について書かせていただこうと思います!
僕は4月に搭乗させていただき、とても貴重な経験をすることができたのでこの場を借りてご報告させていただきます。
旭川赤十字病院では研修医2年目になると、希望者はドクターヘリに搭乗して、現場での救命活動を行ったり、地方の病院から大都市病院への搬送に携わったりすることができます。(研修医が搭乗可能な期間は4月か5月~10月まで)
これはドクターヘリを所有している病院だからこそ出来ることだそうです。
上級医(フライトドクター)、看護師(フライトナース)、パイロット、整備士と一緒に、僕らはOJT(On the Job Training:訓練者)という立場で搭乗することになります。
道内ではドクターヘリを所有している病院が4つあり、手稲渓仁会病院、市立釧路総合病院、市立函館病院、そして旭川赤十字病院です。
旭川赤十字病院のドクターヘリは道北ドクターヘリと言われ、北海道の中心部~稚内方面、オホーツク方面、南は富良野方面など道内の幅広い圏域をカバーしています。
僕は、2年目の4月に救急科をローテートしており、4月中に2日間ドクターヘリに搭乗させていただきました。
2日間で搭乗した件数は5件、訪問地は6か所(富良野、留萌、豊富、遠軽、北見、名寄)、総運航距離はなんと約1200kmです!(2日間で笑)
ドクターヘリでの研修医の1日の大まかな流れについてお伝えしていきます。
8:00に出勤、フライトスーツに着替えます。
8:30頃になるとヘリポートでヘリ内の医療物品、機材等チェック(心電図やモニター作動確認や物品個数など)を行います。
その後ミーティングを行い、日没時間や天候の確認、PHSの画面作動チェックをします。以降はPHSを持って各自待機、救急外来の手伝いをしたり腹ごしらえをしたり…
出動要請が来るとPHSが鳴ります。
「ドクターヘリエンジンスタート、ドクターヘリエンジンスタート」
すかさず屋上行きのエレベーター前で上級医、看護師と合流してヘリポートへ向かいます。そして搭乗、離陸。
基本的にはランデブーポイントと呼ばれる患者さんを乗せた救急車との合流地点へ着陸し治療を行い、ヘリに乗せます。(病院へ直接向かう場合もあります。現場近くの場所が安全でドクターヘリが着陸できそうであれば、直接現場に着陸することもあるそうです。)
その後、搬送先の病院へ向かいます。ヘリ内でもバイタルのチェックや薬剤の投与などを適宜行います。
フライトから帰ってきたら、また待機となります。
日没時間に合わせてフライトは終了します。僕の時は17:30でした。(冬はもう少し早いそうです)
18:00頃ミーティングルームにて集合し、その日の反省、振り返りを行って1日が終了となります。
2日間の搭乗研修で、1日目は3件、2日目は2件の出動要請がありました。
その中で最も印象深かった1日目の1件目、つまり僕のドクターヘリ初症例をご紹介させていただきます。
クマに襲われた外傷です。クマによる外傷症例は普段中々見ることはないそうですが、僕は最初の搭乗で経験しました。
クマの症例なんて全く関わったことがないし、そもそも何をすればいいのかということも思いつかず、「とりあえず止血…?ルート確保?いやABCのチェックか。」などなど頭の中で色々と悩みながら空を飛び、現場へ向かいました。
現場は本当に山の奥で、普段なら絶対に行かないようなところであり、救急バッグをかつぎながら山の急斜面を登り歩き、たどり着きました。
上級医、看護師と協力しながら、ABC確認、全身チェック、止血、細胞外液投与を行い、バックボードに固定して山を下り、ヘリへ搬送。
普段は病院という整った環境での対応をしますが、このようにドクターヘリに搭乗することで現場での対応の難しさ、何が大切かということを体感できます!今まで気づくことができなかった医療の一面について知ることができた貴重な経験となりました。
研修医のうちにドクターヘリに搭乗するなんて普通はできません。旭川赤十字病院ならではの貴重な経験ができます。
皆さん、ぜひ旭川赤十字病院で研修し、ドクターヘリ搭乗を経験してみてください!!
(記:旭川赤十字病院 初期臨床研修医2年目 長安 健)