院長挨拶

令和7年4月1日付けで院長に就任いたしました。令和2年4月に副院長就任してからちょうど5年になります。副院長就任当時は世界的に新型コロナウイルス感染(covid-19)が猛威を振るい、日本においても多くの方が感染し亡くなっているという危機的状態でありました。日本赤十字社の『苦しんでいる人を救いたいという思いを結集し、いかなる状況下でも人間の命と健康、尊厳を守る』というミッションを胸に当院職員は診療に当たってきました。日本はもとより全世界の人々の努力が報われcovid-19による重篤な感染者が徐々に減少し、日本では令和5年5月8日からcovid-19はインフルエンザと同様の5類感染症へと移行しました。当院では今後もcovid-19やインフルエンザ等に感染対策を継続し、新興感染症を念頭に置いた対応策を準備して参ります。
旭川赤十字病院は1915年開設で本年は創立110年目に当たります。1978年に救命救急センターを設置し、以後毎年約5000台程度の救急車を受け入れてきました。2009年には道北ドクターヘリの基地病院となり、離島を含めた道北地域全般に欠かせない救急医療のインフラへと進化しました。当院では日常診療においても地域の医療機関との連携を密接にするよう努めています。2004年に地域医療支援病院の指定を受け、患者さんの診療を地域の医療機関と協力し積極的に行ってきました。
旭川赤十字病院の電子カルテに記録された患者さんの診療内容や画像情報、検査データなどが“かかりつけ医”に正確に伝わるよう、2008年に地域医療連携システム「旭川クロスネット」を立ち上げました。これは地域の皆様や他の多くの医療機関の賛同を頂き、2014年には市内の5つの公的病院すべてが電子カルテ情報を提供する「たいせつ安心i医療ネット」へと進化しました。患者さんが「たいせつ安心i医療ネット」に登録することにより市内の公的病院の診療内容が時系列の一覧表形式で参照できるため、正確なデータに基づく質の高い医療を受けることが出来ます。このデータは患者さん自身が指定した公的病院の医師のみならず、開業医においても利用することが可能です。さらにこのデータは救急医療の場面でも利用できるため、突然倒れてどの公的病院に搬入されても安心して医療を受けることが出来ます。
現在、日本においては高齢化や過疎化が急速に進行し人材不足が大きな社会問題になっています。それは医療においても同様で働き方改革とともに重い足かせになっています。当院では2022度からAIによる胸部X線写真読影を導入するとともにRPA(Robotic Process Automation)を積極的に導入し業務の自動化を推進しています。現在は生成AIによる業務効率化や職員の負担軽減に取り組んでいます。これらIT化の推進は医療安全や医療サービスの品質向上にも多大な効果を生むと期待されています。
旭川赤十字病院は旭川市と共に、道北と共に創立から110年間発展して来ました。これからも、地域の医療を、地域の人々を守るため各医療機関と協力して高度で質の高い医療を提供して参ります。そして、道北地区の人々が安心して暮らせる地域社会づくりに貢献して参ります。
私は浅学非才ではありますが院長業務に全力で取り組んで参ります。皆様のご理解とご協力、ご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
略歴
- 1989(H元)年 3月
- 北海道大学卒業
- 2008(H20)年2月
- 旭川赤十字病院 外科部長
- 2013(H25)年 4月
- 旭川赤十字病院 院長補佐
- 2019(H31)年 4月
- 旭川赤十字病院 上席院長補佐
- 2020(R2)年 4月
- 旭川赤十字病院 副院長(昇任)
- 2025(R7)年 4月
- 旭川赤十字病院 院長(昇任)